リアル書店がまんが王国から学べること
ここ数年で、携帯やタブレットで漫画を読む人が圧倒的に増えた気がします。
漫画を扱う電子書店のなかで、まんが王国という書店をご存知でしょうか?
このまんが王国ですが、リアル書店が学べるところも多いと思うのです。
講談社と集英社の商品がなくてもやっていける
まんが王国の扱っている商品をよく見ると分かりますが、集英社と講談社の商品は扱っていません。
2社の商品を扱っていないのは、条件面などが折り合わなかったためだそうですが、これはすごいことだと思います。
リアル書店で集英社、講談社のコミックスなしに売り上げをあげるなんて考えられないことです。なにせ、ワンピースも進撃の巨人もないわけです。
それにもかかわらず、まんが王国は電子書店のなかでも大手に位置する売り上げを叩き出しているんです。
では、なぜそんなことが可能なのでしょう?
世間の売れ筋とはまったく違うランキング
ランキングを見てみましょう。
2016年4月15日現在のデイリー総合ランキングの1〜3位は以下のとおり。
1位 オーダーメイド
2位 ぬけぬけと男でいよう
3位 欲望の聖女 令嬢テレジア
この3作品ですが、現在、お店に在庫を持っている書店がどれくらいあるでしょうか?
そもそも、おそらくタイトルを聞いてピンとくる書店員さんも少ないのではないのでしょうか?
この3作品は、すべて完結済みの過去の作品です。
そう、まんが王国の強みは世間の売れ筋、新刊に縛られないところにあるんです。
なぜ、こうした有名でない過去の作品でもしっかり売れるのか?
詳しくは書きませんが、それは売れそうなタイトルの徹底的な仕掛け販売によるものです。(どこかの機会で書ければと思います)
新刊や売れ筋がなくても十分、本を売ることは可能だし、読みたいというお客さんがいるのは確かなのです。
まんが王国発のベストセラー
いろいろ書いてきましたが、そうはいってもリアル書店がまんが王国をそっくりそのままマネることは不可能なのも確かです。
もっと身近な部分で学ぶべきなのは、まんが王国がきっかけで売れたコミックスタイトルが出てきているということでしょう。
これについては、日販の人が書いた以下の記事に詳しく書いてあります。
「ちいさいひと」や「恋は雨上がりのように」といったコミックスが売れたのは、電子書店のバナー広告による力が大きかったという話です。
ちいさいひと 青葉児童相談所物語(1) (少年サンデーコミックス)
- 作者: 夾竹桃ジン,水野光博
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2015/10/09
- メディア: Kindle版
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電子コミックスの売り上げは、年々、倍々ゲームで増えています。
そう考えると、今後、こういった例はますます増えてくるでしょう。
その意味で、リアル書店の人間も他店舗視察と同じくらい電子書店を見るべきだと思うのです。
次回は、まんが王国に限らず電子書店の読者像について書いてみようと思います。